指導法や学習の内容について

3段階学習法
こぐま会では、指導に際して「事物への働きかけ」と「対話による理解の確認」を大切にしています。それは子どもが事物に直接働きかけることで、ものごとの関係を自ら発見していくことができ、また考え方の根拠を言語化(言葉による説明)する努力を通して、論理的思考力の土台がかたちづくられていくと考えているからです。
特に、年長にじクラスに進級する直前の年中はなクラス9月からは、 (1)身体全体を使う活動、 (2)手を使い事物に働きかける個別学習、 (3)認識を定着・発展させるペーパーワーク、という3段階で授業を行っています。同じテーマの学習を3段階で行うことによって、イメージ化・内面化といわれる大切な学習プロセスを保障し、幼児期の最大の課題である「具体から抽象へ」の橋渡しを実現しています。幼児が物事を理解する道筋にみあった指導方法が、こぐま会にはあります。
1. 身体全体でかかわる活動
集団でのごっこあそびなどを行います
幼児が興味をもって自ら取り組もうとするのは、五感で感じることのできる対象です。授業でも、まず遊びや生活の場面を再現し、ごっこ遊びなど身体全体を使う活動から始めます。自然なかたちで学習をスタートさせることで、積極的に取り組む姿勢が生まれます。
2. 事物を使った試行錯誤
机の上で教具・カード教材などを操作します
物事に働きかけ試行錯誤する中で、ものの本質や関係性を学んでこそ、その経験がペーパーで問われた時に活かされ、考える力が要求される難問を解くことができるようになります。実際、事物を用いた試験を行う小学校では、ペーパーよりも難しい課題が多く出されています。
3. 教師との対話・ペーパーによる理解の確認
考え方、答えの根拠をはっきりさせます
身体や手を使うことで充分に深まった理解を、最後にペーパーワークで点検します。その際、正しい考え方で解いたのかを確かめるために、こぐま会ではどんな課題においても「なぜ、そうなりますか?」と質問し、答えの根拠を説明させるようにしています。このとき、頭では理解していても、言葉にならない身振り手振りというのがあります。これも、言語化への過程の重要な一段階として評価しています。大切なのは、本当に理解させること、分かったつもりにさせないことです。
6つの学習領域
こぐま会が理念のひとつとして掲げる「教科前基礎教育」の中身は、大きく6つの領域「未測量・位置表象・数・図形・言語・生活 他」に分けられます。小学校で例えるなら、「教科」として区分けされる学習のカテゴリーです。この6領域を学習単元ごとに更に細分化し、その考え方を年少から年長にわたって系統的に学習を積み上げ徐々に身につけていくことができるよう、それぞれ1年単位の独自のカリキュラム(※)にまとめています。

(※) 実際には小学校の入学試験が9月から12月にかけて行われるため、各年齢とも10月から翌年の9月までを1区切りとし、受験終了後の年長の10月から3月までを就学準備の期間としています。

〇未測量
量を土台にして数概念を学びます
大きさ・多さ・長さ・重さそれぞれを比較する方法や、量の相対化(比較する対象を意識し、関係の中でとらえること)、量の系列化(ものの順番を表すための順序数の考え方)を学びます。
○位置表象
視点を変えてものを見る目を育てます
上下・前後・左右といった基本となるものの位置関係を正確に捉え、表現できるようにします。そして、自分とは異なる場所・方向からの見え方を「地図上の移動」「四方からの観察」で学習し、他者の観点からも同じことができるようにします。
○数
四則演算の基礎を身につけます
「ものを正しく数える」ことから始め、「同数発見」「数の構成」につなげていきます。また、数の比較である「求差」や、生活の中で子どもたちが自然におこなっている「等分」「分離量」などを生活場面に即して身につけます。
○図形
図形感覚(平面・立体)を高めます
平面・立体、それぞれの基本的な図形の特徴を捉えることから始め、形のみ比べ、正確に書き表す練習、構成・分割などを通して、イメージする力をつけていきます。
○言語
聞く力・話す力を養います
「読む・書く」の前提として「聞く・話す」力は重要です。人の話や絵本・紙芝居を正確に聞きとる力を身につけるとともに、日常の生活体験に根ざしたお話づくりを行います。また、同頭音・同尾音、しりとり、反対言葉など、言葉遊びを通して日本語学習の基礎を身につけます。
○生活 他
認識能力を育てます
生活の中における物の属性や、物と物との関係性を把握し、ものごとの理解を多面的に深めていくことが、すべての学習の土台になります。入学後の「生活科」につながる、理科的常識や社会的常識を中心に学習します。
教具・教材
こぐま会の授業では、身体全体を使って関わる「具体物」、机の上で一人一人が操作するための「教具・カード教材」、最後に理解の定着を確認し、応用問題としても取り組む「ペーパー教材」にいたるまで、必要なものはすべて一つ一つ手作りし、教具・教材として使用しています。教科書・ノート・黒板があれば可能な小学校以降の教育と異なり、幼児期の教育には授業意図に則した教具・教材が欠かせないからです。
特に、幼児がものごとを理解する道筋として、ペーパー学習の前に事物体験をふまえることが必須となるため、毎週何種類もの具体物や教具を準備します。ペーパーについては、問題の中身や質問の仕方など細かく検証しながら、子どもの発達段階に合わせ、ていねいに作成しています。

セブンステップスカリキュラム
セブンステップスカリキュラムは、全42週の学習カリキュラムで、受験はもちろん、教科学習の土台を形成するための思考力育成を目的として完成させたものです。6領域「未測量・位置表象・数・図形・言語・生活 他」を、基礎から応用へ、具体的なものから抽象的なものへと無理なく学習できるように、また一度学習した内容も、先に進みながらかたちを変えて繰り返し反復練習できるように、7段階に系統化して構成しています。